虐待と医療
虐待はあまり表立って話題になっている訳ではないが、年々虐待児童数は増加しており、かなり深刻な状況である。
虐待は、発見された/した場合、まず児童相談所に相談するが、虐待による身体の損傷や、心の治療は医学とも関連している。
児童虐待検挙事件の増減を調べると、被害児童数は年々増加傾向にあるが、死亡者数に関しては横ばいである。法医学(医学に基づいて、法律的に重要な事実関係の鑑定・解釈等をする学問。例えば、血液型や指紋による個人識別、親子鑑定、殺人に対する死因・死後時間の推定を行う。)において、子どもの虐待の死亡例は稀で、あまり注目されていない分野である。しかし、全国に解剖医は150人程しか居らず、虐待による死亡なのかが全て明らかになっている訳ではない。
また、解剖医は死体の解剖という重労働に加え、メンタルが弱い人が解剖を行うと、死者に対して同情してしまうため、そもそも解剖医として働きたいという人は少ない。年収が約900万円と、年収約1248万円の医者と比較すると年収が低いのも要因なのかもしれない。
参考
「法医学からみた子どもの虐待」小湊慶彦(群馬大学院医学研究科病態遺伝法医学分野)