歯学の現状
歯学分野において今深刻なのは急増した歯科医師の高齢化に伴う歯科医師の急減である。「歯科診療所はコンビニよりも多く存在する」と1度は聞いたことがあるだろう。歯科診療所の店舗数は2020年時点で68,088軒、一方、2023年8月時点のコンビニの店舗数55,810軒で、歯科診療所数がコンビニの数をはるかに上回っている。
そもそも歯科診療所が急増した原因として、昭和40年から50年にかけて歯科医師不足が叫ばれ、一気に歯学部・歯科大学が4倍近くも新設されたことが挙げられる。その結果、今こうして歯科医師の大量発生につながっている訳だが、日本歯科総合研究機構で、日本歯科医師会会員である歯科医療機関の管理者約1万名に対し郵送調査を実施した結果、管理者の年齢は60歳代が最も多く、将来の医院継承について予定なしや不明は約9割を占めていた。このことから、急増した歯科医師は今後医院継承をせずに高齢者になり、やがて歯科医師が急減することが予想できる。
話は変わるが、虫歯と歯周病の違いについてご存知だろうか。歯周病、という言葉は聞いたことがあるかもしれない。次の「歯周病とは」で詳しく説明するが、簡単に言うと、歯周病とは、歯を支えている骨が溶けて、歯が抜けてしまう病気のことで、虫歯は、虫歯菌が作る酸によって歯が溶けてしまう病気のことである。虫歯によって歯が溶けた場合、銀歯やインプラント(チタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯をかぶせる治療法)で人工的に歯を復元することができるが、歯周病は、抜歯後の歯茎が健康であるとは限らないため、義歯(部分入れ歯、総入れ歯、インプラント)の選択肢が減ってしまう。
参考
厚生労働省 「歯科医師需給問題の経緯と今後への見解」
亀井孝一郎著「歯周病になったらどうする?」